回帰モデルの評価に用いられる「MAPE」とは?注意点も合わせて紹介

回帰モデルに使われるMAPE 時系列

はじめに

回帰モデルの評価はモデルの性能を正確に理解し、改善のための手がかりを得る上で極めて重要です。その中でも、MAPE(Mean Absolute Percentage Error)は一般的に使用される指標の一つです。本記事では、MAPEの基本的な概念から特徴、使いどころ、さらには注意点について掘り下げていきます。また、似た指標の一つであるSMAPE(Symmetric Mean Absolute Percentage Error)についても触れます。

MAPEとは

MAPEは予測モデルの性能を評価するための指標であり、予測値と実際の値の絶対パーセンテージ誤差の平均を表します。具体的な計算方法は、各データポイントにおける絶対パーセンテージ誤差を求め、それらを平均することで得られます。

$$ MAPE = \frac{100}{n} \sum_{i=1}^{n} | \frac{y_i – \hat{y_i}}{y_i} | $$

ここで、\( n \)はデータポイントの数、\( y_i \)​は実測値、\( \hat{y_i} \)​はモデルによる予測値です。

数式だと分かりずらい点もあるので、下記テーブルにてイメージいただければと思います。

実績値予測値誤差率
56|(5-6)/5| = 0.2
67|(6-7)/6| = 0.16
44|(4-4)/4| = 0.0
58|(5-8)/5| = 0.6
1011|(10-11)/10| = 0.1

5個の実績値/予測値がある場合、一個一個の誤差率を算出し、MAPEを最終的に算出します。MAPEは誤差率の平均です。

MAPE = (0.2 + 0.16 + 0.0 + 0.6 + 0.1) / 5 = 0.212 = 21.2%

※最後に100をかけて%に直します。

MAPEの特徴と使いどころ

特徴

  • パーセンテージ誤差の平均: MAPEは予測誤差をパーセンテージで表現し、異なる尺度のデータを比較しやすくします。
  • 小さな誤差に敏感: 小さな予測誤差に敏感であるため、モデルの精度向上が求められる場合に有用です。

使いどころ

  • 需要予測: 商品やサービスの需要を予測する際に、実際の販売数とモデルによる予測数のパーセンテージ誤差を評価するのに適しています。
  • 金融予測: 株価や為替などの金融市場において、モデルの予測と実際の値の差異をパーセンテージで評価するのに利用されます。

MAPEの注意点

ゼロ除算の可能性

MAPEは実測値がゼロの場合、MAPEの分母が0になる部分が発生し、MAPEが発散する可能性があります。この場合、別の評価指標を検討するか、データの変換が必要です。

外れ値の影響

外れ値がある場合、MAPEはそれに敏感に反応する可能性があります。外れ値の検出と処理が重要です。

非対称性

MAPEは予測誤差の対称性を考慮していません。予測値が実測値を過大または過小に予測した場合、同じようにペナルティが課せられます。

SMAPEとは

データセットに多くのゼロが含まれる場合、SMAPEはその対応力から優れた評価指標となります。MAPEが零除算の問題を抱えるのに対し、SMAPEはゼロを含むデータに対しても適切に評価できます。

$$ SMAPE = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} \frac{2 \times |y_i – \hat{y_i}|}{|y_i| + |\hat{y_i}|} \times 100 $$

まとめ

MAPEは予測モデルの評価に広く使用される指標であり、特にパーセンテージ誤差を考慮する場合に優れています。ただし、零除算や外れ値の影響に注意する必要があります。どちらの指標を使用するかは、具体的なケースやデータの特性に依存します。最適な評価指標の選択がモデルの性能評価において鍵となります。

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評価指標入門〜データサイエンスとビジネスをつなぐ架け橋

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